眼科医に聞きました糖尿病網膜症は気づかないうちに進行します
進行してからでは視力の回復が難しい病気。
糖尿病と診断されたら眼科を受診しましょう
北野滋彦先生
前東京女子医科大学糖尿病センター眼科教授
1982年
日本大学医学部卒業、東京大学医学部眼科学教室入局
1985年
三井記念病院眼科
1988年
東京女子医科大学糖尿病センター眼科講師
1990年
-1993年イェール大学眼科
1995年
東京女子医科大学糖尿病センター眼科助教授
2000年
東京女子医科大学糖尿病センター眼科教授
2022年
東京女子医科大学糖尿病センター眼科定年退職
2023年
新宿石川クリニック、江口眼科病院、宮田眼科東京
現在に至る
糖尿病網膜症の自覚症状にはどんなものがあるでしょうか?
糖尿病網膜症になっても、初期~中期は自覚症状はほとんどありません。
糖尿病患者さんは、症状がなくても定期的に検査を行い、目の状態を確認することが大切です。
糖尿病網膜症になると、見え方にはどんな変化がおきますか?
「ゆがむ」「かける」「かすむ」などの症状があらわれることもあります。
糖尿病網膜症だけの場合は、初期~中期は見え方の変化はほとんどありません。
しかし、糖尿病網膜症の合併症である糖尿病黄斑浮腫にかかった場合は、見ているものがゆがむ、視界の一部が欠ける、視界がかすむといった症状があらわれることがあります。
糖尿病網膜症が進むと、どうなるのですか?
末期には視力低下や飛蚊症が起こり、失明することがあります。
糖尿病網膜症が進むと、視力が急激に低下したり、モノを見ているときに黒い石のようなものが動いて見える「飛蚊症」になったりします。
この時点で視力回復を図るのはかなり困難です。
網膜剥離や緑内障など、ほかの病気を併発することもあり、失明に至る場合があります。
糖尿病網膜症の合併症「糖尿病黄斑浮腫」とはどんな病気ですか?
網膜の中央にある「黄斑」という部分にむくみができる病気で、大きな視力低下をきたすことがあります。
糖尿病黄斑浮腫は、糖尿病網膜症の初期から末期までどの段階でも併発する病気です。
糖尿病黄斑浮腫は”正確にモノを見る”役割を持つ「黄斑」と呼ばれる部分にむくみ(浮腫)が起こる病気で、糖尿病患者さんが大きな視力低下をきたす原因になります。
糖尿病患者の方へ
糖尿病患者さんの約5人に1人は糖尿病網膜症の恐れがあります。
糖尿病で起こる
主な目の合併症と発症率
糖尿病で起こる主な目の合併症と発症率について紹介しています。
網膜症と黄斑浮腫
網膜の血管の障害が進むと、その影響は大きく二つの変化となって現れます
眼の合併症を予防するために
糖尿病の合併症を防ぐには、定期的な眼科受診、血糖と血圧のコントロールが大切です。
監修 前東京女子医科大学糖尿病センター眼科教授 北野滋彦 先生