眼の合併症を予防する
糖尿病と診断されたら眼科受診
網膜症は、放っておいたら自覚症状がないまま徐々に進行し、最悪の場合は失明に至ります。
失明に至らなくても視力低下で日常生活に支障が出ている人も多いのが実情です。
網膜症は、血糖コントロールをきちんと行い、早期に発見して治療を開始したら、失明や視力低下で悩まず、よりよい日常生活を送れる可能性が十分期待できる病気です。
糖尿病と診断されたら眼科を受診し、「早期発見」と「早期治療」に結びつけましょう。
糖尿病と診断されたら眼科を受診しましょう。
“定期的な”眼科受診
検査でいつも「異常なし」と言われ続けていると安心し、いつのまにか定期的な受診をやめてしまいがちです。
そして、見え方の異常や急な視力低下に気づき、あわてて眼科を受診したときにはすでに遅いことも!
毎回の検査で異常が見つからなくても、発見を遅らせないため、そして治療のタイミングを逃さないため、「定期的な受診」を心がけましょう。
■受診間隔の目安
網膜症なし・・・1回/1年
単純網膜症・・・1回/6か月
増殖前網膜症・・・1回/2か月
増殖網膜症・・・1回/1カ月
日本糖尿病学会編・著:糖尿病治療ガイド2022-2023,P85,文光堂,2022
発見と治療を遅らせないため、定期的な眼科受診をしましょう。
血糖コントロール
網膜症を発症させないため、進行を最小限にくい止めるため、糖尿病と診断されたら、「できるだけ早い段階で血糖コントロール」を行い、血糖値を目標値範囲内に維持しましょう。 血糖コントロールがきちんと行われている人は病気の進行が遅く、途中で進行が止まって病気が安定することもあります。 ただし、血糖値の急な変動は、網膜症を悪化させることがあるので注意しましょう。
治療目標は年齢、罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に設定する。
※合併症予防の観点からHbA1cの目標値を7%未満とする。対応する血糖値としては、空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL未満をおおよその目安とする。
日本糖尿病学会編・著:糖尿病治療ガイド2022-2023,P34,文光堂,2022
血圧コントロール
糖尿病の患者さんは高血圧になりやすく、高血圧は網膜症の発症リスクをさらに高めます。
血糖コントロールに加え、「血圧のコントロール」も積極的に行いましょう。
ただし、動脈硬化性冠動脈疾患、末梢動脈疾患合併例、高齢者においては、
降圧に伴う臓器灌流低下に対する十分な配慮が必要。
※ 75歳以上の高齢者でも忍容性があれば個別に判断して130/80mmHg未満を目指す。
日本糖尿病学会編・著:糖尿病治療ガイド2022-2023,P34,文光堂,2022
糖尿病患者の方へ
糖尿病患者さんの約5人に1人は糖尿病網膜症の恐れがあります。
糖尿病で起こる
主な目の合併症と発症率
糖尿病で起こる主な目の合併症と発症率について紹介しています。
広尾羽澤内科眼科クリニック 副院長 大越 貴志子 先生